前回の「20代編」では、時間と金を持て余しながらも、圧倒的な経験不足からくる焦燥感について語りました。今回はその続き、30代の歩みです。
30代になると、否が応でも環境が激変します。結婚、出産、育児。多くの人にとって人生のビッグイベントが押し寄せる年代です。私の場合は20代後半でしたが、これにより、20代の頃のように「24時間365日、自分の好きなように時間とお金を使う」というチートモードが強制終了しました。
給料は家庭のため、子供の将来の貯蓄に回る。時間は家事と育児に吸い取られる。 そうすると、人間は必ずこう言い訳をしたくなります。
「勉強したくても、時間がない」 「自己研鑽したくても、お金がない」
しかし、どうやら答えはNOです。振り返ってみれば、20代の頃、時間はたっぷりありましたが、1日のうちで本当に「集中してインプットしていた時間」などたかが知れていました。
つまり、30代でも「学ぼうと思えば学べる」のです。ただ、20代の時とは「戦い方」を変えなければなりません。 思い立った時に徹夜で勉強するスタイルから、毎日の通勤電車での20分、子供が寝た後の30分を、異常なまでに「濃縮」してインプットするスタイルへと変化させなければなりません。
大人になればなるほど、自分の時間は減ります。その少なくなった時間をどう捻出し、どう活用していくか。その「老獪さ」を身につけるのが、30代の最初の試練でした。人間、追い込まれないと新しい方法は模索しない生き物なのです。
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プレイヤーからマネージャーへ。そして陥った「管理の病」
30代半ばになると、だんだんと責任が伴ってきます。役職がつき、自分の裁量が増え始めます。 私の場合、身近にロールモデルとなるような上司(専門職としてもマネージャーとしても優秀な人間)がいたため、どれだけ子育てに忙しくても時間を捻出し、彼から学ぼうと必死でした。
だが、ここで大きな壁にぶつかります。「仕事の対象」が、「患者」から「患者と部下」へと広がったことです。
自分だけを成長させていればよかった時代は終わり、部下を成長させるフェーズに入りました。 しかし当時の私は、「人を成長させる」のではなく、「人を管理する」ことで頭がいっぱいでした。
部下のミスを神経質に指摘し、失敗が起こらないように先回りして口を出し、うまくできても称賛することはありません。典型的な「マイクロマネジメント型」の小うるさい上司。それが当時の私でした。おそらく、部下からは相当嫌われていたでしょう。
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手札はあるのに負け続ける「30代のポーカー」
さらに30代後半。私は「新回復期病棟の立ち上げ」という一大プロジェクトの責任者に抜擢されました。
この時点で、私の中には今までの知識や経験がそれなりに蓄積されていました。「自分は勉強してきたし、やれる」という自負もありました。 しかし、結果は出なかった。 以前の記事でも書いた通り、職場の雰囲気は最悪になり、スタッフの大量離職を招く大失敗に終わったのです。
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ですが、この時の「結果が出ない」という絶望感は、20代の時とは全く質が違った。
20代は、そもそも「手札(カード)」がないから負けていました。 しかし30代の私は、それなりのカードは持っていました。武器はありました。ですが、その武器の「使い所」や「束ね方」が絶望的に分かっていなかったのです。
ポーカーで言えば、強い役(手札)は持っているのに、他者との駆け引き(マネジメント)ができず、場の空気を読めずに一人で暴走し、結果的に負け続けている状態です。
仕事、結婚、子育て、昇格。 30代は、あらゆる意味で「自分の領域外」に足を踏み入れる年代です。自分の力だけではどうにもならない「他者(家族や部下)」との関わりの中で、私はここでも失敗だらけの道を歩んでいました。






