今日のテーマは、以前の記事にした「やたらハイテンションな新人さん」のその後についてです。
あれから数ヶ月が経ちました。当時の彼女は1年目の新入職員で、やたらとハイテンションだったのですが、それは実は自分の不安を隠すためのペルソナであり、家に帰ってからは疲弊しきっていました。 そこから自分の弱さと直面しなければならなくなり、非常に辛い日々を過ごしていました。しかし、その過程で弱い自分に気づき、そこから立ち直ってきたという経緯がありました。
結論から言うと、今の彼女は一人の人間として、社会人として、そして医療職として、一皮むけてすごく強くなったなと感じています。
まず、仕事には以前よりも休むことなく来られています。2ヶ月に1回くらい休むこともありますけど。適切なケアを受けながらしっかり休めるようになったようで、その分、仕事ではエネルギッシュに動けています。もちろん、あまり無理をしすぎないように、こちらが少しセーブするような多少のフォローは必要ですが。
そんな彼女が最近、本当に2年目なのかと驚くようなマネジメントを見せてくれました。
担当したのは、独居で認知機能はしっかりされているものの、フレイル(虚弱)が強く、呼吸器系の疾患も抱えている患者さんでした。もう90歳近いこともあり、ご家族は施設に入れようかと考えていましたが、患者さん本人は「独居でも大丈夫だから家に戻りたい」と希望されていました。
その新人スタッフは、「なんとか本人の希望を叶えたい」と、ありとあらゆる手を尽くしてくれました。 万が一1人になっても、どんなサービスがあれば家族が安心して在宅復帰を承諾してくれるのか。介護保険サービスを調べまくり、例えば配食サービスを利用する、ヘルパーを頼む、介護保険が降りるまでは市役所の支援サービスを使う、保険が降りたら呼吸機能の低下を防ぐためにデイケアに必ず通ってもらう……といった具合です。
管理職としての行動のデバッグ
これは本来、MSW(社会福祉士)やCM(ケアマネジャー)の役割であり、連携すべき仕事内容です。これを全て彼女に強いてしまったのは私の管理不足でもあります。彼女はまだ経験が少ないため、頑張り過ぎてしまう傾向にあり、それゆえの精神的な疲労につながるとわかっていたわけですから。彼女には今後、
私たち経験者にとっては、普段の仕事の中で当たり前のように持っている知識です。しかし、患者さんやご家族はそういったことを本当に知りません。彼女は、「そういった情報をしっかり提供していくこともすごく大切だということに気づきました」と自ら言ってくれました。
実際にご家族と面談し、ご自宅でまた一人暮らしができるようになったことで、彼女は非常に喜んでいました。もちろん、私たちは技術を使って患者さんの身体機能を上げていく絶対必要なスキルを持っていますが、一方で、こうした医療保険や介護保険サービスの知識をしっかり提供し、ご家族にいろんな選択肢を持ってもらうことも同時に大事なのです。それに彼女自身が気づいてくれたことが、一番良かったなと思います。
彼女の報告の節々に、患者さんやご家族の気持ちを非常に重んじていることが伝わってきました。その結果としての、もうこれでもかというほど調べ、やり尽くした一生懸命な行動。本当にすごいなと感心しました。
彼女と話している時、私自身も気づかされたことがあります。彼女は、心が弱っている時や病んでいる時に、どれだけ生活に支障が出て、なんなら体にも影響が出てしまうかということを、自分自身の経験として知っているんですよね。 だからこそ、患者さんの気持ちがよくわかる。すなわち、深く共感できるのだと思います。そういう経験があまりない人は、患者さんの本当の今の気持ちに共感するのはなかなか難しいのも無理はありません。
ゆえに、今回私自身への教訓になったのは「ピンチはチャンス」ということ。そして、「自分のウィークポイントは、ストロングポイントにもなり得るんだな」ということです。
自分が弱い、心が弱いというのは一見ネガティブにとらわれがちですが、裏を返せば「弱い人の気持ちに共感できる」という強みにもなります。だから、物事を簡単に良し悪しで白黒はっきりつけない方がいいんじゃないかと思います。
私の好きな言葉に「人間万事塞翁が馬」という言葉があります。いいと思ったことが悪くなったり、悪いと思ったことがいいことになったり、人生はなかなか簡単には決められません。 そういった長期的な目で、私たち管理職は部下も組織も見守っていく必要がある。そんな教訓を得た最近の出来事でした。

