不眠症で壊れた私が『真面目な自分』を捨てた話〜精神科医より効いた、たった一つの仕事術〜

depth of field photo of man sitting on chair while holding cup in front of table マネジメント
Photo by Andrea Piacquadio on Pexels.com

【2026年1月25日 追記:この記事は「デバッグ(修正)」済みです】

みなさん、仕事に追われていませんか。いくら仕事を終わらせても次から次に湧いて出てきて、身体的にも精神的にも楽にならない、自分のやりたいことではなく上司に依頼されたことに全ての時間を費やしている気がする、そんな悩みを抱えている人は非常に多いです。休日でさえも勤務があったり、平日の激務から回復すべく休日は家でゴロゴロして休む、でも休んだにも関わらずあまり疲れが取れた気もしないし、夜には翌日から始まる仕事のことが頭の中で膨れ上がってせっかくの日曜の夜が憂鬱になってしまう。この悩みはほとんどの社会人に当てはまるのではないでしょうか。私もかつてはそうでした。理学療法士として社会人になり日々の業務をこなし、ありがたいことですが30歳で始めての子供もできプライベートも忙しくなりました。ですが徐々に精神的に追い込まれ、その年には不眠症になってしまいました。このままでは心身ともに壊れてしまう、と思った私は手当たり次第様々なことを試しました。ジョギングをしたり、布団を変えてみたり、夜に散歩してみたり。40代になった今は、当時よりも責任も増え、やるべき仕事も多いはずですが、仕事に追われている感覚はなく、むしろ追っている感じがあります。むしろ仕事に行って仲間たちと一緒に働きたい、とさえ思えるようになっています(職場は変わっていません)。子供は3人に増えましたが、 休日にはこのようにブログを書く時間も作れています。今、振り返ってみて自分の状況を変えてくれた仕事術がいくつかありました。その一つが【時間管理術】です。他にもいくつかありますが、今回は私が振り返ってやって良かったと実感できる【時間管理術】についてお伝えします。私は理学療法士ですが、違う仕事でも全く問題なく活用できると思います。特に仕事になると体や心にネガティブなことが起こってしまう方は、すぐにでも試してみてください。きっと役に立てると思います。


私は理学療法士として20代後半で管理職になってから数年前まで、管理職にも関わらず9時から17時すぎまで一日中患者様に理学療法を提供していました。そこに加えて管理業務、スタッフのマネジメント、勉強会の講師、学会発表の準備など、通常業務が終わってからも常に激務に追われていました。毎日残業し、休日も自己研鑽として講習会や学会に参加し、心身ともに休めている感じはありませんでした。当時は若くて体力もあり、また年代が近い同僚も同じような環境で働いていたので、自分だけ根を上げるわけにはいかないという対抗心でどうにか日々の業務をこなしていました。そして私が30歳の時、大きな仕事を任され、1年間ほどその準備に追われていました。休みの日も頭からその仕事が離れることはなく、今思えば全く脳が休めていなかったように思えます。そして、ついにその仕事が終わった日から全く寝付けないようになってしまったのです。いわゆる燃え尽き症候群でした。読者の中には経験した人もいると思いますが、眠れない恐怖というのは計り知れません。疲れているはずなのに、ベッドで横になり続けることができなくなり、また何を食べても美味しいと感じなくなりました。

こんな悩みがありませんか

  • いつも仕事が終わらず積み重なってしまう
  • 期限が迫ると慌ただしくなってしまう
  • 毎日余裕がない

私の経験上、これに当てはまる人に共通することは、一生懸命で真面目で妥協できない人が多いと言うことです。自分で言うのもいかがなものかと思いますが、私もこれに当てはまる性格でした。このような性格の方は、一生懸命仕事をすればするほど時間もかかりますし、目の前の仕事をすることが自分の経験になるという考えになりやすい傾向にあると思います。また真面目なので他人に仕事を任せるのも気が引ける人も多いでしょう。おそらくこれらは日本人の気質である勤勉さや実直さの表れでもあります。よく私も真面目だと他人に言われることが多いです。その典型的日本人の私が効率よく仕事をこなせるようになった理由をこれからお伝えします。

「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか」 中島聡 文響社 2016

私を救ってくれた名書の一つです。今回書いた内容はこの本のごく一部を実践したものです。私はこの本に出会う前と後では仕事の効率が激変しました。感覚的には半分以下になったくらいに感じます。まだ読んだことがない方は、ぜひ読んでみてください。きっと皆さんの力になってくれるはずです。

本書で紹介されている内容に【2:8の法則】と言うものがあります。本書ではロケットスタート時間術と呼ばれています。内容を簡単に説明しますと、例えばあなたが1か月後にプレゼンを控えているとします。当日に向けてあなたはどのようなプランで準備を進めていくでしょうか。少しイメージしたり、今ままでの経験を振り返ってみてください。読者の方の中には行き当たりばったりで準備していく人もいらっしゃると思います。そして期限ギリギリになって慌ててしまった完成させた経験はありませんか。私自身もかつてはそうで、遡れば小学生の頃から夏休み最終日の8月31日は泣きながら宿題をしていた記憶があります。

【2:8の法則に則って仕事をする】とは以下のようなプランで行動します。期限が1カ月なので当日まで残りは30日、その2割の期間、すなわち6日間でプレゼンの80%を完成させます。「2割の期間で8割完成させるなんて無理!」と思われるかもしれませんが、それがそうでもないのです。誰でもできると思っています。必ずできると思う理由には2つあります。

まず一つ目は、大多数の人が、ラスト2割くらいの期間だけで準備しているからです。本書では期限が近づいてから仕事に取り掛かる【ラストスパート志向】が諸悪の根源であるとも述べています。1ヶ月後のプレゼンにすぐ取り掛かる人の方は少なく、多くの方は残りの1週間くらいを費やして完成まで漕ぎ着けているのではないでしょうか。少なくとも以前の私を含めた同僚周りの方がほとんどそうでした。しかし、実際その仕事にかけている時間はさほど変わりませんから、その期間を前に持ってくるだけですので不可能ではないでしょう。

二つ目は自分の脳にあるものは、80%くらいのものはすぐに引き出せるからです。逆に言うと経験していないことや自分の中にイメージがないものはどれだけ頑張っても引き出すことができないでのです。ですので不十分でも納得がいかなくてもまずは自分が出せるものを全力出して8割程度のものを作ってしまいましょう。

また、本書でも書いてある内容で経験上強く同感したものがあります。みなさんも経験があると思います。それは期限ギリギリでやっていると、また違う仕事が舞い込んでくる、です。例えば、先ほどの例だと、残り1週間で頑張って取り組んでいる時にまた違う仕事がタイミング悪く入ってくることがあります。仕事は私たちの状況などお構いなしで、押し寄せてきます。「なんでもっと早く取り掛かっておかなかったんだろう」と後悔したことは誰しも経験あるのではないでしょうか。

➡️デバッグ【真面目系クズ(自嘲)からの脱却】

私が陥っていた病の正体は仕事量ではなく「完了させることへの恐怖(完璧主義)」でした。 夏休みの宿題を最後に残す心理は、怠慢ではありません。「手をつけて、完璧にできなかったらどうしよう」という不安が、着手を先送りにさせるのです。中島聡氏の「ロケットスタート時間術」は、その不安を技術的にハッキングする「プロトタイピング思考(とりあえず試作を作る)」そのものです。

1. 不眠症の原因は「CPU負荷」

➡️【不眠のデバッグ:『未完了』が脳を食い尽くす】
当時の私が眠れなかった原因は、「ツァイガルニク効果」という心理現象の暴走でした。 人間の脳は「完了したこと」は忘れますが、「未完了のこと」は無意識下でずっと処理し続けます(バックグラウンド処理)。 「あれもしなきゃ」「これの期限が近い」……。 締め切りギリギリまで仕事を抱え込むということは、24時間365日、脳のメモリを「未完了タスク」が占拠し続け、CPUが常に100%稼働して熱暴走している状態です。これでは眠れるはずがありません。仕事を早く終わらせる目的は、評価のためではありません。 「完了」のハンコを脳内で押し、夜に脳をシャットダウンさせてあげるためなのです。

2. 「2:8の法則」を「MVP(実用最小限の製品)」と定義せよ

「8割完成させる」というと、真面目な人は「質が高いものを8割」作ろうとしてフリーズしやすい傾向にあります。その場合は、ハードルを極限まで下げる必要があります。

➡️【2:8の法則のデバッグ:『ゴミ』を作れ】

真面目な人が動けなくなるバグの原因は、「最初から100点を目指す」ことです。 私はこの法則を使う時、自分にこう命令しています。 「最初の2日で、たたき台(ゴミ)を作れ」と。

骨組みだけでいい。誤字脱字があってもいい。とにかく「形」にする。これをビジネス用語で「MVP(Minimum Viable Product:実用最小限の製品)」と言います。

  • 頭の中にあるうちは、評価できません。
  • 形(アウトプット)にして初めて、自分も他人も評価・修正ができます。

0から1を生むのが最もエネルギーを使います。だからこそ、最初の2割の期間で、どんなに低品質でもいいから「0を1にする作業」を終えてしまうのです。あとの期間は「1を10にする作業(修正)」に充てる。これだけで、精神的負荷は1/10になります。

さて、2:8の法則に沿って6日間でプレゼンの8割完成させたとしましょう。するとどうでしょう。当たり前ですが、期限まで24日も残ってるじゃありませんか。この時の安心感をぜひみなさんに実感してもらいたいものです。なんとも言えない感情、無敵感のようなものさえ私は感じました。そして残りの24日をかけて行動することは経験者に残りの2割を埋めてもらう、です。なぜなら、80点は20%程度の能力でとれるが、残りの20点をとるには80%の以上の能力が必要になるからです。

完成までの残り2割、これを自分の力だけで埋めるには相当根気が必要です。そこで経験者の力を借ります。ちなみに経験した人でないと意味がありませんので頼るべき人は吟味してください。そして、ある程度の信頼関係があれば、人は他人に頼られることに嬉しさを感じますからきっと喜んでその2割を埋めてくれるでしょう(埋めるというのは質の話であって、変わってプレゼンを作ってくれると言う意味ではありません)。もし頼る先が先輩や上司であれば、頼られた側からすればあなたは『自分を頼ってくれる(認めてくれる)かわいい後輩』と認識され、今後もあなたの力になってくれるでしょう。なぜなら私が部下に頼られたらそう思うからです。もし嫌そうにされたり適当にあしらわれた場合は、頼るべき人ではなかったというだけです。他の人に頼りましょう。もし真面目な性格の方は「頼ってしまったら自分の成長につながらないのでは」と感じる方もいるでしょう。私は、自分の経験にないものを他人から学ぶことこそ成長につながると考えています。天才でない限り、自分に足りないものは他人から学ぶ他ないのです。あまり意固地にならずに他人に頼ることをおすすめします。

話が少し逸れますが、私は管理職になって久しいのですが、後輩からプレゼンなどのアドバイスを求められることも多々あります。その中で困るのは、内容がほとんどできていない段階でアドバイスを求められる場合と、プレゼンの数日前に求められる場合です。内容がまだ不十分なうちにアドバイスしてしまうとその私の考えが入りすぎる可能性がありそのスタッフの成長のためにはならないですし、また数日前にアドバイスしてしまうとかえって混乱させてしまう可能性があるからです。「もう少し自分の考えを詰めてから聞いてほしいなあ」「もう少し早く聞いてくれればもっと伝えたいことも伝えられるのになあ」と思うことがよくあります。一生懸命だったり責任感があるスタッフの方がかえってそうなってしまうのは気持ちもわかるんですけどね。

さて、残りの24日間で先輩や上司にもらったアドバイスを参考に修正を加え、より質の高いプレゼンを完成させましょう。余裕があるので、プレゼンを客観的に見返してみたり、質問に対する返答を考えたり、いろんな対処法が思いつくはずです。この時に新しい仕事が舞い込んできたとしてもある程度余裕を持って対処できるはずです。その結果、慌てて完成させた場合と比べて、本番は落ち着いて実践できるはずです。ぜひ皆さん、一度このプロセスで行動してみてください。一度この感覚を味わってしまうと、もう二度と「涙の8月31日」はやってきませんよ。

3. 「他人に頼る」を「外部ストレージの活用」と言い換える

「成長のために自分でやらなきゃ」という思い込みを解除する。

➡️【『頼る』ことのデバッグ:自分を過信するな】

「自分で考えないと成長しない」というのは、ある種の傲慢でした。 自分の頭の中にある引き出し(経験)なんて、たかが知れています。

  • 自分一人で悩む: 自分の狭い知識の中でループし、時間だけが過ぎる(処理落ち)。
  • 経験者に聞く: 他人のデータベース(外部ストレージ)にアクセスし、正解を一瞬でダウンロードする。

どちらが「組織として」速く正解に辿り着けるかは明白です。 プロの仕事は、自分の能力を見せつけることではなく、「使えるリソースを全て使って、最短で最高の結果を出すこと」です。プライドという無駄なアプリはアンインストールしましょう。

最後に

【知っている】と【知らない】では大きな違いがありますし、また【知っていてやっている】と【知っているけどやっていない】でも大きな違いがあります。みなさんにはぜひ行動まで移していただきたいと願っています。現状を変えることができるのは自分の行動のみです。今回お伝えした内容は、改めて何かを大きな負荷を課しているものではありません。ギリギリにやっていた仕事を前倒ししてやる、それだけです。それだけでも大きな違いがあるからこそお伝えしています。もちろん結果は数日では出ません。半年から1年くらいはすぐに結果を求めず継続することをお勧めします。

理学療法士に限らず、現代の日本社会における仕事は多忙を極めています。当院でも疲弊から精神的に不調をきたし退職してしまったスタッフもいました。私の経験から、少しでもそのような人を減らして、仕事とプライベートのどちらも生き生きと活動できる人を増やしていく、それが私の目的です。このブログを通じてみなさんのお役に立てれば幸いです。

ちなみにその当時の私は、眠れない夜、天井を見上げながら『このまま死ぬんじゃないか』という底知れぬ恐怖に震えていました。自分の人生の中で、あれほど辛い時期はありませんでした。今思えば、その恐怖があったからこそ、二度と同じ経験をしないように、自らをデバッグしてきたのかもしれません。もし今、過去の私と同じ境遇の人がいましたら、安心してください。この記事を読んで実行すれば、少なからず今よりも好転するきっかけになります。

まとめ

  • 期限までの2割の期間で8割の仕事を終わらせよう
  • ラストスパートが諸悪の根源、絶対に避けよう
  • 残り8割の期間を使って、経験者に残った2割のアドバイスをもらおう
  • 先輩や上司は頼られると嬉しい
  • できる範囲で構わないので継続しよう

この記事の他にも、人間関係をハックする方法をこちらにまとめています

タイトルとURLをコピーしました