以前、このブログで紹介した「非常に真面目で優秀なタイプの部下・A君」
💡A君の過去の記事はこちら👇
彼は提示された任務をきっちりこなし、ミスも少なく、上司のカバーもできる優秀なスタッフです。しかし私としては、現場の目に見えない「違和感」や「歯車が合っていない空気感」を察知するセンサー役になってほしいと考え、彼に「ファクト(事実)・リスク(危険)・アンノーマリー(違和感)」を週に1回報告しに来てもらうシステムを導入(ハック)しました。
結論から言うと、今のところこの試みはあまりしっくりきていません。彼の報告は、私が求めている現場のリアルな違和感から、いつも微妙にピントがズレているのです。
何度か報告を受けてみて気づいたのは、彼はおそらく「自分の考えや意志」があまりにも強固なため、d同僚や部下、他職種のスタッフが今どう考えているか、何を欲しているかという「他者の感情の推し量り(共感)」が絶望的に苦手だということです。上司の私に対しては、会議の前に必要な資料を先回りして準備するなどの気配りができますが、部下に対しては絶対にそういった働きかけをしません。これはつまり、彼は「自分にとってのコストとリターン」を正確に測り、上司にはコストを払うが部下には払わないという使い分けをしているのだと思います。
それが顕著に表れた出来事がありました。 最近、経験年数の浅いある後輩スタッフが、少し仕事の態度が横柄になりつつありました。経験値が増えてきて少し天狗になってしまうのは、若手にはよくある(私自身も経験した)普遍的な現象です。
しかし、その事象に対するA君の分析はトンチンカンなものでした。 「彼は臨床で悩んで無気力になり、あのような態度に出ているのだと思います。だから、私が一緒に患者さんのリハビリに入って、指導してみようと思います」と言い出したのです。
もちろんその可能性もゼロではありませんが、ファーストチョイスとしてそれはどうなのか。もし後輩が微塵もそんな風に悩んでおらず(私の直感ではおそらく全く悩んでないだろう)、ただ調子に乗っているだけだとしたら、A君はやたらと手技を教えたがる鬱陶しい上司にしか映りません。プラスどころかマイナスにさえなりかねません。彼は「相手にどうなってほしいか」ではなく、「自分が指導したい」という視点でしか物事を捉えられていないのです。
もちろん、最初から他者の感情を的確にハックできる人はいません。しかし、これほどまでに認知のズレが修正されないのは、私のマネジメントスキルの不足でもあるのでしょう。
私は「部下(人)を変えようとしてはならない」ということに改めて気づきました。
A君には、彼以外には真似できない「事務的で無機質なタスクを完璧にこなす」という類まれな才能があります。そこに完璧を求め、苦手な「情緒のセンサー役」まで強要するのは、管理職の驕りです。 現場の違和感や雰囲気を感じ取る役割は、それに敏感な別のスタッフを適材適所で立てればいいだけの話。A君には、彼の力が思う存分発揮できる業務に全振りしてもらう。
逆に言えば、得意領域で全力を尽くしてもらえなければ困るのです。無い物ねだりをやめ、彼を本来の「システム」に組み込み直す。これが今回の私の学びです。



