私はこれまで、上司に対して「不正請求をしないてください」「人の容姿を揶揄しないでください」「直属の上司の悪口を、私に言わないでほしい」と、対面で明確に苦言を呈してきました。
これを見た同僚たちは驚きます。大半の人が、心の中では「おかしい」と思っていても、上司の前では下手に出て、言葉を飲み込んでしまうからです。もちろん私にも恐怖心や不安がないわけではありません。しかしその気持ちと天秤にかけた上で行動に移しているのです。
では、なぜ私があえて「言いにくいこと」をトップにぶつけるのか?それは「正義感」という小さなプライドだけでやっているわけではありません。今回は、その理由と、あなたが今の職場で「自分の価値を殺さずに生き抜くための戦略」をお話しします。
理由1:そんな人間に好かれている「自分」が許せない
誤解のないように言っておきますが、私は上司と敵対しているわけではありません。むしろ関係は良好で、評価すらされていると自負しています。
しかし、「親しき仲にも礼儀あり」です。関係が良いからといって、組織の不利益になる悪事や暴言を見過ごすのは、自分の信念に反します。
何より、私は「倫理的に欠陥のある人間に好かれ、評価されている自分」が、私は一番嫌なのです。誰に評価されるかで、自分の価値が決まる。私は、汚れた組織の枠の中で「いい部下」になり下がるつもりは毛頭ありません。私の人生をそんな軽いものにしたくありません。
理由2:私たちの「血と汗」を、アホな一言で台無しにさせない
中間管理職である私たちは、日々、部下の悩みを聞き、面談を重ね、必死に彼らのモチベーションと成長を支えています。愛情を持ちながら時には褒め、時には叱責して。
しかし、トップの心ない「アホな一言」で、私たちが積み上げたものは一瞬でオシャカになります。
自分たちが血と汗を流して作ってきた現場を、無駄な一言で破壊される。そんな不毛なことを許すわけにはいきません。現場を守るための「盾」として、私は苦言を呈します。
理由3:生存戦略としての「差別化(ブランディング)」
私の職場は、8割が「黙って従うイエスマン」、残り1割が「無言で去っていく人」です。(無言で去る人は賢明だと思います)。
だからこそ、私は「組織のために意見を言える人間」という、残りの1%のポジションを取ります。これは明確な自己ブランディングです。普通の人がビビってやらないことをやる人間は、圧倒的に差別化され、「胆力のある人間」として一目置かれるからです。この行動に伴って、あなたの信頼度は確実に爆上がりします。特に部下、同僚、他部署からは強固な信頼が得られます。「あの人は、正しいことを言ってくれる」という頼もしさは、他の人にない分、全てあなたのものになります。
注;だからと言って何かにつけて苦言ばかりではただの鬱陶しい人になるのでご注意を笑。必要最低限に留めておきましょう
あなたが「上司にNO」を言えるようになる、たった一つの魔法
ここまで読んで、「自分にはそんなこと言えない。言う勇気がない。」と思ったかもしれません。 私に言えるのは、私に特別な勇気があるからではありません。ポケットに「カード」を忍ばせているからです。
理学療法士をはじめとする医療現場は、まだまだ閉鎖的です。友人に給料の額面を聞くことも難しく、自分の立ち位置が全く見えません。また友人の職場のことを聞いても、大抵は良くは言わず、ネガティブな面しか教えてくれません。だから、一度エージェントに登録して、プロに聞いてみてください。
「私のキャリアだと、他ではどれくらいの給料ですか?」
私も実際に登録しています。聞かれることは自分の年収、ポスト、今の職場(話したくない場合は話さなくて大丈夫です)、転職希望理由(これもなければ言う必要はありません)、通勤可能範囲くらいを準備しておけば大丈夫です。そして転職希望ではなく自分の市場価値を教えてほしい、とストレートに聞いて全く問題ありません。私の場合、「あなたの条件だと今の相場はこれくらいですね」と、忌憚なく客観的なデータを出してくれました。しつこい電話やメールも一切ありません。むしろ「うちではあなたの希望に沿った求人は今のところ見つからないので、他社も受けてみてください」と言われるほどフランクでした。
自分の市場での「現在地」が分かった瞬間、「あ、最悪ここを辞めても何とでもなるな」と、肩の荷がスッと下りました。 この「いつでも逃げられる」という余裕が、上司との間に健全な距離感を生み、正論をぶつける勇気(カード)になるのです。
苦言は、その組織の寿命を測る「リトマス試験紙」
もしあなたが上司に苦言を呈し、その結果、仲間外れにされたり、働きにくくなったりしたなら……おめでとうございます。一刻も早く、その泥舟から降りてください。
部下の苦言に耳を傾けない上司に、未来などありません。 私自身、顔色ばかり窺う部下より、「ここ、おかしくないですか?」とファクトを突きつけてくれる部下の方が、100倍魅力的だと感じます。
勇気を出して言った結果は、2つに1つです。
- 「組織を思う胆力がある」と評価され、昇格する。
- 関係が劣悪になり、潔く辞める決断ができる。
どちらに転んでも、あなたの勝ちです。 そんな腐った職場に、あなたの貴重な人生(時間)を費やす意味は1ミリもありません。
最後に:言うなら「利他的」であれ
最後に一つだけ注意点があります。 苦言を呈する時は、絶対に「自分が楽をしたいから」という利己的な気持ちを1mmも出してはいけません。「組織のため、同僚のため、そして患者さんを守るためです」という利他的な信念を持ってください。その大義名分が、あなたの背中を強く押してくれます。
私は20年間で数回しか上司にNOを突きつけていません。しかし、その数回は、私の人生において最も大切な決断でした。
一度も言えない人は、一生言えません。 あなたの人生は有限です。組織にあなたを評価させている今の現状に甘んじることなく、あなたが「組織を査定する側」に回ってください。
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